asean-thailand-ev-policy-crossroads-20261014
タイのEV政策は成功か、失敗かという二択では読めない。中国EVを呼び込んだことで価格と需要は動いた一方、長年の基幹産業だった日系の内燃機関・ハイブリッド供給網には急な圧力がかかっている。いま問われているのは、EV化を止めずに産業移行の速度をどう整えるかだ。
Reccessaryは、タイでトヨタやホンダなど日系メーカーが、EVを有利にする税・関税構造の是正を求めていると報じた。タイは2022年以降、EVに1台当たり3030〜4545ドルの補助、2%の低い物品税、優遇関税を導入し、工場本格稼働前の輸入も認めた。これにより輸入EVは、30〜50%程度の物品税がかかる現地生産ICE車よりコスト上有利になったという。BOI統計では2026年7月3日時点でEV供給網関連180件、約40億ドルの案件があるが、記事は電池・主要部品案件の平均投資額が小さい点も課題として挙げる。
記事の問題提起は、補助金で販売を押し上げる段階から、どれだけ深い現地生産と部品投資に結び付けるかという段階への移行だ。日系ブランドの販売・生産が弱まれば、雇用、部品企業、輸出基盤に影響する。他方で優遇を急に縮めればEV投資の勢いも損なう。タイは中国EVの競争力を取り込みながら、既存の産業基盤をどう移行させるかという難しい政策選択に立つ。
日本企業にとってタイは、従来型のASEAN生産拠点から電動化の移行を試す市場へ変わった。完成車だけでなく、電池、電装、既存部品、雇用まで含めた政策対話が重要になる。この記事は分析・提言の性格を持つため、個別の制度変更が決まったという報道ではない。しかし、日系供給網の競争条件が政策論点として表面化した点には注目すべきだ。
タイの争点はEVを選ぶかICEを守るかではない。EV優遇を、現地投資・既存供給網・地域競争とつながる設計へ更新できるかが、次のASEAN自動車ハブ像を決める。
2026年10月14日 20:01 より抜粋