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中国EVの競争力を語るとき、価格や電池技術に目が向きがちです。しかし米国でいま強く働いているのは、商品力よりも「そもそも売れるのか」という市場アクセスの政治です。
9月9日のElectrekは、エリッサ・スロットキン上院議員が、米中首脳会談を前に中国車の米国販売を認める取引が検討されているとのうわさに言及したと報じました。ただし、同議員は情報源を示しておらず、ホワイトハウスも方針転換を発表していません。
確定している土台は厳しいものです。バイデン政権が2024年に中国製EVへの関税を25%から100%へ引き上げ、トランプ政権もこれを維持しています。Electrekによれば、中国EVは現状、米国で競争可能な条件を得ていません。
同議員は中国製車両、ソフトウェア、ハードウェアを米市場から締め出す「Connected Vehicle Security Act」を超党派で推進しています。法案は7月に上院商業委員会を全会一致で通過しており、カナダ・メキシコで組み立てられる中国ブランド車も意識した議論です。
重要なのは、この記事が取引成立を報じたものではない一方で、中国EVをめぐる米国の論点が関税だけにとどまらないことを鮮明にした点です。供給網、車載ソフト、雇用、安全保障が一つの政策パッケージとして扱われています。
中国メーカーにとって米国は巨大でも、通常の輸出市場として計算しにくい状態が続いています。価格競争力が高くても、制度上の壁が市場参入を左右するためです。
日本メーカーにとっても、北米の競争ルールは製品性能だけでは決まりません。中国勢と直接競争しないことが、政策上の選択によって一時的に維持されている面を踏まえる必要があります。
今後もし通商交渉の言葉が変わっても、関税、安全保障審査、原産地ルールを分けて見るべきです。今回の報道は、政策転換の確定情報ではなく、EV競争が通商交渉の交渉材料になり得ることを示すシグナルとして読むのが妥当です。
米国の中国EV論争は、うわさの真偽を超えて、市場アクセスが100%関税と安全保障議論で政治化していることを示します。米中間のEV競争は、車の魅力だけでは解けない段階にあります。
2026年9月10日 12:00 より抜粋