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EV工場を呼び込む競争では、税優遇や土地だけが勝負を決めるわけではない。組立、整備、電池、ソフトウェアまでを担える人材をどこで育てられるかが、投資家にとっての現実的な判断材料になる。
フィリピンの投資委員会(BOI)は、中国のBeifang Automotive Education Groupとの連携を探り、同国を東南アジアのEV人材育成・技術訓練の地域拠点にする構想を打ち出した。
Daily Tribuneによると、BOIはBeifangの幹部と会談し、技能開発、認証プログラム、EV訓練施設で協力できる可能性を協議した。フィリピンのEV協会、自動車メーカー団体、トラックメーカー団体、部品メーカー団体も参加し、製造バリューチェーン全体で必要になる人材を論点にした。
当局者は、高付加価値投資の誘致とEV産業の拡大には、熟練した技術者の不足が大きな課題だと指摘する。旗艦EV訓練センターを設け、新エネルギー車技術の東南アジア地域ハブにする可能性にも言及した。発表は、EV投資と国内製造の強化を狙う大統領令121号の署名直後だった。
EVの普及は車両販売だけで進まない。高電圧整備、電池診断、製造品質、認証、現場の安全運用を担う人材が不足すれば、工場の立ち上げもアフターサービスも詰まる。人材は目に見えにくいが、供給網の一部である。
タイやインドネシアが完成車・電池投資を積み上げる中、フィリピンが訓練・認証で地域的な役割を取れるかは重要だ。各国が同じ工場を奪い合うのではなく、技能・サービスを含めた分業を作れるかがASEAN全体の競争力を左右する。
日本企業はフィリピンに既存の販売・生産基盤を持つが、EV化で必要な技能は従来の内燃機関時代と同じではない。教育機関、ディーラー、部品企業をつなぐ訓練の仕組みを早めに作れるかが、現地事業の品質と速度を左右する。
今回の構想はまだ協議段階であり、地域ハブ化を既成事実として見るべきではない。ただし、人材政策を投資政策として扱い始めたこと自体が、ASEANのEV競争が次の段階に入ったサインだ。
EV時代の工場誘致は、設備投資の額だけで決まらない。フィリピンが狙う「人材ハブ」は、技能と認証を産業インフラとして整える試みであり、ASEANの分業地図を変える可能性がある。
2026年8月1日 12:03 より抜粋