asean-thailand-output-target-chinese-ev-20260728
タイは長くASEANの自動車生産ハブだった。しかし今、同国の業界団体が示した生産目標の下方修正は、その強みが中国EVの拡大と輸出環境の変化に同時に試されていることを示している。
Nation Thailandによると、タイ工業連盟(FTI)の自動車部会は今年の総生産目標を145万台に引き下げた。中国EVがタイの主要輸出先でもシェアを伸ばすことが主因の一つだという。
上期の生産は71万7212台で前年同期比1%減。修正後の目標は輸出90万台、国内販売55万台で、輸出台数の目標は従来より5.26%低い。中国は世界の生産能力の3分の1を持ち、低い単位コストが優位性を支えるとFTI側は説明した。
国内では電動乗用車の上期販売が前年比93%増で10万台を超えた一方、その半数超が輸入車だという。記事は、タイ国内で組み立てる車両と部品供給網にとって機会損失になり得るとの懸念を紹介している。
これはEV需要が伸びない話ではない。EVが伸びるほど、誰が生産し、どこで部品を調達し、輸出にどの港と航路を使うかが重要になる。タイは年300万台の生産能力を持つが、現状の稼働は半分未満で、供給過剰リスクが可視化された。
また中東情勢によるホルムズ海峡経由の航路閉鎖で同地域への輸出が上期38.3%減となったこと、米国の関税障壁や取引先の排出規制も逆風として挙げられている。
日本メーカー・部品企業にとって、タイの重要性は下がったのではなく、問われる中身が変わった。既存のピックアップ中心供給網を維持するだけでなく、現地調達型EVと輸出先の再編にどう接続するかが鍵になる。
ただし本件はFTIの問題提起でもある。中国EVの拡大と輸入比率への評価は、業界団体の立場を含むものとして読むべきだ。
タイの生産目標引き下げは、ASEANのEV化が「販売増」だけでは済まないことを示す。生産能力、輸入、輸出航路、部品の四つを一緒に組み替えられるかが、次のハブ競争を決める。
2026年7月28日 13:43 より抜粋