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北米の自動車産業にとって、国境をまたぐ部品調達は例外ではなく標準だ。その前提を支えてきたUSMCAが、いま「延長される協定」から「毎年見直される協定」に変わろうとしている。
Thomson Reuters Instituteによると、米国は現行USMCAの16年延長に同意せず、協定を存続させながら年次レビューと交渉に入る道を選んだ。
記事によれば、協定は直ちに失効するわけではなく、解決しなければ2036年に期限を迎える仕組みだ。だが米国、メキシコ、カナダを何度も往復する車両・部品の供給網にとって、毎年ルールが議題になること自体が投資リスクになる。
焦点は原産地規則だ。現行の乗用車・ライトトラックの北米域内価値基準は75%で、報道上は米政権が82%への引き上げ、さらに半分を米国由来にする案を求めているとされる。
自動車の工場、エンジン、電池、部品の投資は数年単位で回収する。翌年以降の関税・原産地条件が読みにくくなれば、企業は新規投資を急ぐより、部品の内製化・現地化とリスク回避を優先しやすい。
北米3国間の貿易に占める自動車の比重は大きく、ルールの変更は完成車メーカーだけでなく、ティア1・ティア2の立地にも波及する。
日本メーカーにとって北米は販売市場であるだけでなく、メキシコ・カナダを含む生産網の中心だ。現地生産台数だけでなく、どの部品がどこから来るかを説明できる体制が競争力になる。
今回の論点は関税率の単純な上下ではない。原産地、最終組立、部品調達を政治がどこまで指定するかという産業政策の問題であり、日本企業も10年単位の投資前提を再点検する必要がある。
USMCAはなくならないが、安定した前提でもなくなった。北米自動車にとって最大のコストは、次のルールが決まらないことそのものかもしれない。
2026年7月15日 12:44 より抜粋