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中国車の海外進出を「輸出台数の増加」だけで捉えると、変化の半分しか見えません。いま中国メーカーが積み上げているのは、販売先に工場と電池の供給網を置く、より長期の現地化です。
CNBCによると、中国企業の海外EV・電池投資の発表額は2019〜2025年に約1010億ドル。米企業の約380億ドルを大きく上回ります。数字の精度には推計差があるものの、中国勢が海外投資で前に出たという構図は明確です。
Atlas Public Policyの集計では、米企業が海外直接投資で中国企業を上回っていたのは2021年までで、その後に逆転しました。中国国内では価格競争と過剰能力が収益を圧迫し、メーカーは輸出と海外市場に活路を求めています。
海外での需要も投資を支えます。記事は、ラテンアメリカで販売されるEVの80%が中国製との分析や、86市場で中国車販売が前年同期比51%増えたというデータを紹介します。関税で輸入が難しくなる地域では、現地生産が市場アクセスの手段にもなります。
工場投資は、港に完成車を運ぶより重い意思決定です。部品調達、雇用、販売網を現地に根付かせれば、後発企業が置き換えるコストも上がります。中国勢は価格だけでなく、世界の供給網そのものを競争力に変えつつあります。
ただし投資「発表」と実際の稼働は同じではありません。Rhodium Groupは、追跡した中国企業のクリーンテック投資発表のうち実現したのはおよそ半分と見ています。規模だけでなく、どの案件が稼働まで進むかを見る必要があります。
日本メーカーにとっての論点は、中国勢との競争が輸出先の店頭だけで起きるわけではないことです。現地生産、電池、物流、販売金融を含めた「市場に根を張る速さ」が、今後の差になります。
欧州やASEAN、南米で中国メーカーが現地化を進めれば、日本勢も輸出中心の体制を見直す局面が増えます。投資額の見出しに反応するより、各国での稼働・調達・雇用がどう進むかを追うことが重要です。
中国EVメーカーの海外投資は、輸出ブームの延長ではなく、関税と国内競争を越えるための現地化戦略です。世界のEV競争は、どこで売るかから、どこで作り供給網を持つかへ移っています。
2026年7月14日 11:45 より抜粋