asean-thailand-ev-incentive-expiry-import-risk-20260713
ASEANのEV競争は、補助金でどれだけ売れるかの段階から、現地でどれだけ作り続けられるかの段階へ移っています。販売が伸びても、完成車輸入ばかり増えて部品産業が痩せれば、産業政策としては成功と言いにくいからです。
Bangkok Postによると、タイ自動車業界は政府のEV3.5補助制度が来年終了した後、中国製EVの輸入が増え、現地生産と部品網が打撃を受けると警戒しています。いま問われているのは、EV普及そのものではなく、普及の果実を国内産業に残せるかどうかです。
記事では、EV3.5制度がBEV組立工場への税制優遇や補助を通じて投資を呼び込んできた一方、終了後はASEAN・中国FTAのゼロ関税を背景に輸入車が増える懸念があると紹介されています。
タイ工業連盟(FTI)傘下の自動車産業クラブは、中国EVの流入が進めば、国内車両生産が圧迫され、部品メーカーの受注も細ると警告しています。対策として、現地調達比率を高める条件や、輸入車と国内生産車の税制差を広げる案が提起されています。
重要なのは、ASEANのEV政策が「市場を作る」段階から「市場を取られすぎないよう守る」段階へ移っていることです。補助金で呼び込んだメーカーが、補助終了後に輸入中心へ戻れば、現地産業育成の狙いは崩れます。
タイはASEANの主要生産拠点であり、その政策変更は周辺国にも波及します。EVで中国勢を受け入れながら、どこまで現地組立・現地部品・雇用を守れるかは、地域全体の産業戦略に直結します。
日本の読者にとっては、タイが「EV販売国」ではなく「ASEANの生産ハブ」である点が重要です。ここで輸入車優位が強まりすぎると、日本系メーカーやサプライヤーが築いてきた地域生産網も再設計を迫られます。
日本企業は今後、販売シェアだけでなく、現地調達比率や政策条件への適応力で競う必要があります。ASEANでは、EV化の勝負がそのまま産業主導権の勝負になりつつあります。
このニュースの本質は、タイのEV政策が販売促進から現地生産防衛へ重心を移し始めたことです。ASEANのEV競争は、どれだけ売るかより、どれだけ地域内に産業を残せるかの局面に入りました。
2026年7月13日 12:36 より抜粋