india-ev-components-trade-deficit-20260709
インドのEV市場が伸びていると聞くと、多くの人は「現地産業にも追い風だ」と受け止めます。ですが実際には、EV化が進むほど部品の輸入依存が強まり、産業収支の見え方が逆回転する場面が出てきました。
Forbes Indiaが紹介したACMAデータによると、インドの自動車部品産業はFY26に輸入254億ドル、輸出240億ドルとなり、13.7億ドルの貿易赤字へ転落しました。EVとSDVの拡大は市場成長であると同時に、国産化の弱点を浮き彫りにしています。
FY26の部品輸入は前年比13%増の254億ドル、輸出は5%増の240億ドルでした。FY25には5億ドル、FY24には3億ドルの黒字だったため、今回の赤字化は明確な転換点です。一方で業界売上高そのものはルピー建てで12.7%増の7.59兆ルピーへ伸びており、需要が弱いから赤字になったわけではありません。
ACMAは、EVとSDVが従来車より輸入比率の高い部材を必要とすることを主因に挙げています。バッテリーを除いても電装・電子部品の輸入比率は高く、中国が輸入全体の36%を占めました。つまり市場拡大の果実がそのまま国内部品産業に残る構造には、まだなっていないということです。
重要なのは、EVシフトが単純な成長物語ではなく、サプライチェーンの再設計問題でもあると示した点です。EV販売が増えるほど、国産化できていない電装・電子・磁性材料への依存が大きくなり、貿易収支には逆風が吹きます。
これはインド市場が弱いという意味ではありません。むしろ需要が強いからこそ、どの部材を現地化できていないかが数字に現れたのです。今後の焦点は販売台数ではなく、どこまで部品・素材・電子系を国内供給に置き換えられるかへ移ります。
日本から見ると、インドは完成車市場としてだけでなく、部品・電装・材料の供給網をどう組み立てるかが問われる市場です。現地販売が伸びても、現地調達率が上がらなければ利益や競争力は外へ流れます。
日本の部品メーカーにとっては、これはリスクであると同時に機会でもあります。インドがEV化と国産化の間でギャップを抱えるなら、その不足部分に入れる企業には余地があります。インドの次の競争は、販売より供給網の内製化で決まりそうです。
インドの部品産業が赤字に転じたのは、EV拡大が失敗しているからではありません。EVが伸びるほど輸入依存の高い部材が増え、産業の弱点が数字で見える段階に入ったからです。インドのEV競争はこれから、販売拡大と国産化の両立をどう実現するかが本番になります。
2026年7月9日 11:29 より抜粋