asean-thailand-ev-hub-boi-20260707
ASEANのEV競争は、どの国で何台売れるかより、どの国が最初に厚い供給網を抱え込むかで決まりつつあります。タイの最新数字は、その競争がすでに次の段階へ進んでいることを示しました。
The Nation Thailandによると、タイのEV関連投資承認は198件、総額1370億バーツを超えました。完成車だけでなく、電池、主要部品、充電網まで広がるこの厚みが、タイをASEANのEV中枢に押し上げています。
BOIによると、BEVは18案件で395億バーツ、HEVは7案件で299億バーツ、PHEVは7案件で94.29億バーツ、その他EV分野は18案件で31億バーツです。さらに、電池・蓄電システムに335億バーツ、主要部品に125億バーツ、充電・バッテリー交換に97.88億バーツが向かっています。
充電関連だけでも全国2万2900口超、うち1万口超の急速充電器整備を支えます。メルセデス、BYD、AION、長安、BMW、Hyundai Mobility、Omoda & Jaecoo などがすでに生産立ち上げを進めており、雇用は1万6000人超に達しました。さらに、BOIはタイ部品企業と海外企業のマッチングも進め、現地調達の厚みを増そうとしています。
重要なのは、タイが単なる組立拠点ではなく、EV供給網そのものをパッケージで取りにいっている点です。完成車工場だけ先にあっても、電池、主要部品、充電網、人材が薄ければ、地域ハブにはなれません。タイはその弱点を先に潰しにいっています。
この積み上げが進むほど、ASEANで販売したいメーカーにとってタイを無視しにくくなります。供給網が濃い国ほど追加投資を呼び込みやすく、追加投資がさらにサプライヤーを呼ぶという好循環が起きるからです。タイはまさにそのループに入ろうとしています。
日本から見ると、タイは従来の内燃機関車の量産拠点という理解だけでは足りません。EV時代には、タイがASEAN全体の部材・電池・充電網の結節点になる可能性が高まっています。
今回はBOI/EV Boardベースの進捗報道であり、すべての案件が同じ速度で収益化するわけではありません。それでも、投資の層が完成車から周辺産業まで広がっている点は見逃せません。日本メーカーや部品企業にとっても、タイをASEAN供給網再設計の起点として見直す局面です。
タイの強さは、1つの巨大工場ではなく、EV供給網を面で厚くしていることにあります。1370億バーツ超という数字は、ASEANで最初に“作って流せる国”になるための実務投資がかなり進んでいることを示しています。
2026年7月7日 11:02 より抜粋