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欧州自動車の競争力をめぐる論点は、中国車をどう防ぐかだけではありません。むしろ今は、欧州の中でどこまで部品を作り切れるのか、その基準をどこに置くのかが焦点になっています。
CLEPAが7月2日に出したリリースは、電動車でも「Made in Europe」をかなり高い水準で実現できると主張しました。これは業界の要望書に見えて、実際には欧州の雇用・投資・調達戦略をめぐるかなり重い論点です。
CLEPAとRoland Bergerの分析では、欧州委員会の手法に沿って計算した場合、PHEVの欧州コンテンツ比率は89%、BEVでも83%に達しうるとされました。内訳としては、PHEVで74%が主として欧州製、さらに15%が大部分欧州製、BEVでは68%と16%でした。
CLEPAは、欧州委員会が部品基準ではなく車両全体の定義へ寄せて「Made in Europe」基準を緩めると、1ポイントごとに最大1.5万人の雇用が危うくなると警告しています。産業競争力を守るなら、部品をどこで作るかを曖昧にしてはいけないという主張です。
重要なのは、この議論が単なるスローガンではなく、どの工程を欧州域内に残すかという産業政策そのものになっている点です。完成車だけ欧州で組み立てても、肝心の部品が域外に流れれば、雇用も技術基盤も残りません。
一方でCLEPA自身も、Industrial Accelerator Actだけで十分とは言っていません。電動車や電子部品の一部では域外調達がまだ多く、競争力を維持するには制度だけでなく、投資環境や製造立地としての魅力を高める構造対策が要るという認識です。
日本から見ると、欧州は「販売市場」としてだけでなく、「どこまで現地化を求める政策圏か」という視点で見る必要があります。欧州向けの完成車や部品を扱う企業ほど、将来はローカル調達比率の要件に影響されやすくなります。
また、この話は欧州の保護主義強化と同時に、サプライヤー主導の産業再編でもあります。日本の部品メーカーにとっては、欧州で生産基盤を持つことの価値が上がる一方、域外供給だけでは取りにくい案件が増える可能性があります。
CLEPAの主張は、欧州EVでも7割超の域内部品化はすでに現実的であり、基準を緩めると雇用も投資も逃げるというものです。欧州市場では今後、関税よりも「何をどこで作るか」の定義が競争力を左右する。今回のリリースは、そのルールづくりが本格化していることを示しています。
2026年7月3日 11:04 より抜粋