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北米自動車市場の次の大きな論点は、新車の売れ行きやEV補助金だけではありません。むしろ厄介なのは、部品や完成車がどこの国で、どの比率で作られたのかという、見えにくい供給網のルールです。
CNBCによると、米国・カナダ・メキシコのUSMCAは期限までに延長されず、年次見直しの段階に入りました。自動車業界は、北米の統合市場がそのまま続くのか、それとも米国中心へ再設計されるのかを見極める局面に入っています。
今回のポイントは、3カ国が16年延長に進まず、毎年の見直しプロセスへ移ったことです。記事では、自動車産業が3カ国間貿易の約18%を占める重要分野であり、協定の先行き不透明化が投資や雇用に悪影響を与えかねないと指摘されています。
特に焦点となっているのが原産地ルールです。現行USMCAでは乗用車・ライトトラックの地域価値比率75%が北米由来であることが求められますが、トランプ政権はそれを82%へ引き上げ、さらにその半分を米国内生産に近づける方向を志向していると報じられています。
この問題が重いのは、関税の有無よりも、サプライチェーンをどう作り替えるかに直接跳ねるからです。いまの北米自動車は、米国・メキシコ・カナダの国境をまたいで部品と完成車が何度も行き来する前提で成り立っています。
もし米国比率の厳格化や部品原産地の再定義が進めば、企業は新しい調達、認証、物流、工場配置の見直しを迫られます。これは単発の関税より長く効くコストであり、北米生産の収益構造そのものを変えます。
日本メーカーにとっても他人事ではありません。トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、SUBARUのいずれも、北米を単一の巨大市場としてではなく、域内分業で最適化された生産地域として使ってきました。原産地ルールが動けば、その前提が揺らぎます。
今後は「どの車を売るか」以上に、「どの部品をどこで作り、どの国で最終組立するか」が企業価値に直結します。北米戦略は販売計画ではなく、地政学込みの供給網設計に変わりつつあります。
USMCAの延長見送りは、北米自動車産業にすぐ大混乱を起こすニュースではありません。しかし、水面下ではより大きな変化の始まりです。次の勝負は関税を払うかどうかではなく、北米のルール変更に耐えられる供給網を誰が先に組み直せるかに移っています。
2026年7月2日 14:05 より抜粋