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中国のEV競争は、販売台数や価格だけを見る段階を超えつつあります。今回の5カ年計画で見えてきたのは、EVを“走る製品”ではなく、電力システムの一部として組み込もうとする発想です。
これは単なるインフラ整備の話ではありません。車、充電器、充電拠点、送電網を一体で設計することで、中国が自動車産業の競争ルールそのものを作り替えようとしていることを意味します。
CnEVPostによると、中国の国家発展改革委員会と国家能源局は6月25日、「新しいエネルギーシステム構築のための第15次5カ年計画」を公表しました。2030年までに新エネルギーを発電量の30%に引き上げる目標を掲げ、風力・太陽光の拡大だけでなく、EVを電力調整資源として本格活用する方針を打ち出しています。
計画では、車両・充電器・充電ステーション・電力網の相互接続を進め、スマート充電と車両から電力網への逆潮流(V2G)を広げる考えです。2030年までに、車両と電力網の相互作用による調整可能な充電能力を約50ギガワットに引き上げるとしています。
あわせて、充電設備は2030年に4,000万基へ拡大し、仮想発電所の調整能力も50ギガワット超にする計画です。つまり、中国はEVの普及そのものだけでなく、普及後にどう電力側で使い倒すかまで制度設計に入れ始めました。
重要なのは、EVが自動車市場の製品カテゴリーから、エネルギー政策の中核アセットへ位置づけ直されたことです。販売補助や新車投入だけではなく、電力需給の調整、再エネの変動吸収、充電行動の制御までを含めて、自動車が国策インフラに組み込まれます。
この発想が広がると、競争力は車両価格や航続距離だけでは決まりません。通信制御、課金、充電ネットワーク、蓄電制御、自治体や電力会社との連携まで含めた“システム対応力”が問われます。中国勢が強いのは、車を安く作れるからだけではなく、こうした周辺システムまで一気通貫で押さえやすいからです。
日本でもV2HやV2Gは語られてきましたが、まだ実証や個別導入の色合いが濃く、国家計画の中心に据えられているとは言いにくい状況です。中国の今回の動きは、EV政策が環境政策からエネルギー安全保障と産業競争政策にまで広がっていることを示しています。
日本の読者にとっての示唆は、これからの自動車競争を“いい車を作る競争”だけで見てはいけないという点です。車が電力インフラの一部になったとき、どの国・どの企業がルールを握るのかが、次の覇権争いになります。
中国の5カ年計画は、EVを電力系統の調整資源に変える方向を明確にしました。これは、中国の自動車競争が販売台数競争から、エネルギーと結びついた総合システム競争へ進んでいることを意味します。
今後は「何台売れたか」だけではなく、「何台が電力システムの中で機能するか」を見ないと、中国EV市場の本当の強さは見えてきません。
2026年6月26日 09:53 より抜粋