europe-ev-growth-chinese-share-gain-20260624 –>
欧州の自動車市場では、ようやくEV需要が景気の重荷を打ち返し始めました。ですが、単純に「欧州のEV化が進んでよかった」で終わるニュースではありません。伸びた市場の果実を、誰が取っているのかが次の論点になっています。
今回の数字が示しているのは、欧州の市場拡大がそのまま欧州メーカー優位を意味しないことです。むしろ、中国ブランドの存在感が一段と強まる中で、競争の質が変わりつつあります。
ReutersがACEAデータを基に報じた内容を、Global Banking & Finance Review掲載面で確認すると、EU・英国・EFTAを合わせた5月の新車登録台数は前年同月比3.6%増の115万2523台となりました。年初来でも4.5%増です。
特に伸びを支えたのは電動車で、BEV登録は39.1%増、PHEVは13.2%増、ハイブリッドは8.2%増。電動車全体で新規登録の3分の2超を占めました。一方でガソリン車とディーゼル車はそれぞれ約19%減少しています。
重要なのは、EV市場の拡大と同時に勢力図も変わっている点です。Reuters記事では、Leapmotorが465.1%増、Cheryが244.1%増、BYDが136.6%増と、中国ブランドの伸びが際立ちました。欧州の既存大手では、Renault、Stellantis、Volkswagenの登録台数が1〜3%程度減少しています。
つまり欧州市場のテーマは、もはや「EVへ移行できるか」だけではありません。EV需要が本格化した市場で、価格競争力や商品投入速度を武器に中国勢が取り分を拡大し、欧州メーカーが守勢に回る構図が見え始めています。
日本の読者にとって示唆的なのは、EV化そのものが競争優位ではなくなりつつあることです。市場が電動化しても、その波に誰が最も乗れるかは別問題です。欧州で起きているのは、制度や補助金が整った先で、改めて価格・商品企画・供給スピードの競争が始まるという現実です。
日本メーカーにとっても、欧州は規制対応の最前線である一方、中国勢との比較が最も厳しく突きつけられる市場でもあります。EV時代の勝敗は、規制適合だけでは決まらないことを今回の数字は示しています。
欧州の5月市場はEV需要に支えられて拡大しました。しかし、その拡大局面で中国ブランドが強く伸びている以上、ニュースの本質は「欧州EV市場が伸びた」ことだけではありません。より重要なのは、伸びる市場の主役が静かに入れ替わり始めていることです。
2026年6月24日 10:17 より抜粋