asean-20261024
現地組立が始まれば、クルマは安くなる——。その期待は分かりやすいが、ASEANの自動車産業を読むには不十分だ。マレーシアで進むCKDは、値札よりも、部品・技能・供給網をどこに残すかという競争の話である。
paultan.orgは、BYD MalaysiaがSime Motors傘下Inokom Corporationと組み、ケダ州クリムで生産する計画を起点に、CKDの意味を検証した。記事は、CKD化と値下げは必ずしも一対一ではなく、価格が変わらない車種や上昇した例もあると説明する。一方で、組立の現地化は投資、雇用、部品調達、技能形成を通じて産業の裾野を広げる。
輸入完成車を組み立てに替えるだけでは、地域の競争力は決まらない。どの部品を現地で作り、どの工程を習得し、どれだけ継続的な台数を確保できるかが重要になる。EV時代は電池、電子部品、ソフト対応を含むため、CKDを関税回避の手段としてだけ見ると、政策の狙いを見誤る。
日本勢が長く築いたASEANの生産網にとっても、CKDの再評価は重要だ。中国系を含む新規参入が組立拠点を増やす局面では、現地価格だけでなく、サプライヤー育成やサービス網まで含めた定着度が競争を分ける。マレーシアの動きは、ASEAN内での現地化競争を映す。
マレーシアのCKD(現地組立)は、必ずしも車両価格を下げる仕組みではない。しかし雇用、部品、技術、人材を地域に積み上げるため、ASEANでの競争力を測る重要な基盤になる。
2026年10月25日 12:55 より抜粋