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ASEANのEV競争は、新規参入を呼び込むだけでは終わらない。既に深く根を張る日系の工場、部品、雇用をどう次世代に接続するかが、タイにとっては産業政策そのものだ。車税の見直し指示は、EV化の加速と既存投資の防衛を両立させようとする難しい舵取りを示している。
Nation Thailandによると、アヌティン首相は車両税と投資措置の見直しを指示した。狙いは、EV政策を巡る不満から日系メーカーが生産を移すとの懸念を抑え、既存の製造業者が不利にならない条件をつくることだ。政府はエンジン、車体、シャシーなどが国内で生産される日系ブランドの産業基盤を重視している。
タイは長年、日系メーカーの主要生産拠点として部品供給網を育ててきた。一方でEV投資の呼び込みは、中国勢を含む新しい競争軸を生む。税制が特定のパワートレーンや投資時期だけを優遇すれば、既存のサプライチェーンが空洞化する恐れもある。見直しは、移行を止めるのではなく、競争条件を組み替える試みだ。
日本企業にとってタイは輸出先である以上に、ASEAN全体へ展開する製造ハブである。政策の焦点がEV補助の額だけでなく、既存工場の転換、部品の現地化、税制の公平性に移るなら、日系は「過去の投資家」ではなく移行を担う当事者として交渉できる。
タイの車税見直しは、EV化の速度を巡る論争ではない。日系を核に育った生産エコシステムを、EV時代にどう残し、更新するかという産業政策の問いだ。
2026年8月22日 09:01 より抜粋