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欧州の対中防衛というと、まずEV関税が思い浮かびます。しかし本当に注目すべきなのは、警戒線が完成車から周辺部材へ広がっていることです。
Carscoopsによると、EUは中国製タイヤに最大45.3%の反ダンピング税をかける方向です。これは単にタイヤ価格が上がる話ではなく、中国の“低価格でシェアを取る戦い方”に欧州が包括的に対抗し始めたサインだと読めます。
記事では、2021年から2024年にかけて中国製タイヤの欧州市場シェアが18%から28%へ上昇し、2024年には約9300万本がEUに流入したと整理しています。欧州委員会は現地メーカーの訴えを受けて調査を進め、一部中国メーカーに最大45.3%の税率、協力企業にも24.4%の税率を適用する方向です。
報道によれば、2024年の中国製タイヤの平均輸入価格は1本あたり30.30ユーロで、高率課税は低価格帯の販売構造を直撃します。EU側はミシュラン、ピレリ、コンチネンタルなどの域内メーカーが販売量とシェアを失っていると判断しています。
重要なのは、欧州の防衛線がEVだけの話ではなくなったことです。完成車に加えて、交換需要が大きい補修部品でも中国の価格攻勢を抑えるなら、欧州は自動車産業全体の収益プールを守る発想に移っています。
これは中国メーカーの輸出戦略にも影響します。完成車が関税で止まり、部材まで締め付けられるなら、欧州向け事業は単なる輸出では成立しにくくなり、現地化や高付加価値化を急ぐ必要が出てきます。欧州の産業政策は、もはや一点防御ではありません。
日本の読者にとって重要なのは、欧州が“安い中国製品”への警戒を自動車バリューチェーン全体に広げている点です。完成車、電池、補修部材のどこにいても、価格優位だけでは通りにくくなる市場環境が強まっています。
日本企業にとっては一部で追い風にもなり得ますが、同時に欧州が保護と競争政策を細かく使い分ける市場になるという意味でもあります。輸出価格だけでなく、現地供給体制やブランドポジションを含めた立ち回りがより重要になります。
今回のニュースは、欧州が中国EVを警戒しているという単純な話ではありません。タイヤにまで高率関税を広げたことで、欧州は中国の価格競争モデルそのものを抑え込む段階に入ったと見られます。
2026年7月11日 14:38 より抜粋