eu-chinese-brands-overtake-japan-20260710
欧州のEV競争は、関税をかければ流れが止まるほど単純ではないようです。むしろ足元では、中国車が日本車を販売台数で上回るという象徴的な転換が起きました。
FuelCellsWorksがACEAデータをもとに伝えたところでは、5月の欧州31カ国で中国メーカー5社の販売は13万8410台、日本勢6社合計は13万424台でした。差は大きくありませんが、重要なのは関税導入後でも中国勢の伸びが止まっていないことです。
記事によると、BYD、SAIC、Geely、Chery、Leapmotorの中国勢5社は5月に前年比65%増を記録しました。対するトヨタ、ホンダ、日産、スズキ、マツダ、三菱の日本勢6社合計は3%減でした。中国勢は4月時点ではなお日本勢を下回っていましたが、5月に初めて逆転しました。
背景には、BYDの海外販売が上期に70%増えたこと、ドイツやスウェーデン、イタリアで補助金支援が戻ったこと、さらにPHEVが追加関税の対象外であることがあります。加えてLeapmotorのスペイン組立やCheryの欧州拠点整備など、域内生産の布石も進んでいます。
重要なのは、欧州の競争が「中国車を入れるか止めるか」ではなく、「中国勢がどの形で市場内に根を張るか」という段階へ移っていることです。関税だけでは販売の伸びを止めきれず、補助金政策や現地生産が次の勝負になります。
また、日本勢の弱さはハイブリッドの強さとEVの薄さのギャップとして表れています。欧州で消費者が補助金込みでEVを選ぶ局面では、中国勢の価格・品ぞろえ・投入速度が効きやすく、日本勢の存在感は相対的に薄くなります。
日本から見ると、このニュースは欧州販売の一時的な勝敗ではありません。中国勢が関税・補助金・商品構成・現地組立を組み合わせて市場に深く入ってくる構造変化として読むべきです。
欧州での後退は、やがて他地域のEV戦略にも影響します。日本メーカーにとっては、EVラインアップ、価格帯、現地生産の意思をどう組み直すかが問われる局面になっています。
中国車が欧州で日本車販売を初めて上回ったことは、単なる月次逆転以上の意味を持ちます。関税があっても止まらない中国勢の浸透は、欧州の自動車競争が新しい構造段階に入ったことを示しています。
2026年7月10日 11:23 より抜粋