asean-thailand-ev-investment-hub-20260704
ASEANのEV拠点競争は、販売台数だけでは決まりません。勝負を分けるのは、工場、電池、部品、充電網、人材まで含めて、どこまで一体で積み上げられるかです。
タイでいま起きているのは、まさにその“面”での投資です。The Nation Thailandによると、タイ投資委員会(BOI)が承認したEV関連案件は198件、総額1370億バーツ超に達しました。タイはASEANの販売市場というより、生産ハブとしての厚みを増しています。
記事によると、タイのEV投資承認は2026年5月時点で198件、1370億バーツ超に達しました。内訳はBEVが18案件で395億バーツ、HEVが7案件で299億バーツ、PHEVが7案件で94.29億バーツ、その他EVが18案件で31億バーツです。
さらに電池・蓄電システムに335億バーツ、主要EV部品に125億バーツ、充電・バッテリー交換に97.88億バーツが向かっています。充電関連だけで全国2万2900口超、うち1万口超の急速充電器整備を支える計画です。メルセデス、BYD、AION、長安、BMW、Hyundai Mobilityなどの生産立ち上がりも進み、雇用は1万6000人超に広がっています。
重要なのは、タイが「補助金でEV販売を押す国」ではなく、「EVを作って流す国」へ重心を移していることです。完成車だけでなく、電池、部品、充電網まで同時に厚くすることで、メーカーにとって参入しやすい供給網を形成しています。
この積み上げが進むと、ASEAN向けの輸出・現地販売・部品調達をタイ起点で組み立てる企業が増えます。地域ハブ争いでは、単発の大型工場よりも、周辺産業とインフラを含むエコシステムの完成度が重要です。タイはそこを先に押さえにいっています。
日本から見ると、タイは従来のピックアップトラックやエンジン車の生産拠点から、EV時代の地域ハブへ再定義されつつあります。日本メーカーやサプライヤーにとっては、タイを単なる現地法人の拠点ではなく、ASEAN全体の供給網再設計の基点として見る必要があります。
また、この数字はBOIベースの投資承認であり、すべてが同じ速度で収益化するわけではありません。それでも、完成車からインフラまで案件が同時進行している点は、ASEANの中でタイが一歩先に出ていることを示しています。
タイの強みは、1つの工場ではなく、EVの供給網そのものをまとめて厚くしていることです。198件・1370億バーツという数字は、タイがASEANのEV生産ハブを本気で取りに行っていることを示す、かなり重い材料だと言えます。
2026年7月4日 09:22 より抜粋